買ったモノ

 野村亮馬ベントラーベントラー(3)』

あなた達はあなた達なりに進歩してゆけばいいと思いますよ/宇宙は熱くて寒くて寂しい所です 積極的にはお勧めする気にはなれませんよ…


 最初からこの結末のつもりだったのか分からないけど、投げっぱなしジャーマンとも思えるオチは最初戸惑ったものの、何回か読み直すうちにこれはこれでハッピーエンドなのかとも思う。
 人類は結局クタムの忠告には従わずに外宇宙を目指して拡散していったようだけど700年後も逞しく生き延びてるようだし。
 ちょっとブリッシュの『宇宙都市』シリーズの、多くの人類が飛び出していった後の荒廃してるけどゆったりした時間<とき>が流れていそうな未来の地球の風景がよいでふ。

ベントラーベントラー(3) (アフタヌーンKC)

ベントラーベントラー(3) (アフタヌーンKC)

 丸川トモヒロ成恵の世界(11)』

 「SPEARHEAD」No.4 
 小型ヘリH-13Hに無理やりスタブウイングつけて64式MATを4発も積んだ試験機や、砲塔側面にボックス・ランチャを二段に搭載したチャーフィーの写真は珍しい?60式自走無反動砲にMATを前後方向に搭載した偵察車両の写真も一度見てみたいっ。

SPEAR HEAD (スピアーヘッド) 2010年 06月号 [雑誌]

SPEAR HEAD (スピアーヘッド) 2010年 06月号 [雑誌]

 ニール・ゲイマン(作), アンディ・キューバート、ほか(画)『バットマン:ザ・ラスト・エピソード』
 おおうっ、畜生。最後の数ページ、涙が止まらないっ。
 ゴッサムシティの犯罪地区に安置された柩。
 中に横たわるバットマンの亡骸。
 ゴードン部長やキャットウーマン、ジョーカーやトゥーフェイスなどバットマンと所縁のある人物が次々と訪れては想い出を語っていくが、何故かバットマンの最後については全員内容がくい違っていて…とゆーゴッサム版『藪の中』みたいなストーリーを幻想的にまとめたのは『サンドマン』のニール・ゲイマン
 しかしアルフレッドの告白がいっちゃん非道いな(^_^;)。
 「実はブルースの見た夢でした」といった安易なオチではなくて、本当にシリーズ全体に決着をつけ(う)る文字どおりのラスト・エピソードであり、同時に『バットマン』というキャラに対する鎮魂歌になっているのがいい。
 スーパーマンと違って有限の肉体を持つ以上、いつの日かどこかで戦いに敗れて命を失う運命にあるバットマンを、それでも「死による安息」すら拒否して戦い続ける永遠の「ゴッサムの守護者」へと昇華させるラスト数ページの展開は涙なくして読めません。
 まあこの辺は普遍的なエモーションであるかは定かでありませんが。
 バットマンとして永遠に戦い続けることに対する唯一のご褒美は「またバットマンになれること」…それは恩賞なのかある種の呪いなのか。
 赤子のブルース・ウェインとして生まれ、ほんの数年の間だけ両親と幸福な少年時代を送れる…これが永遠の戦士バットマンに許された唯一の安息の時とゆーのが切なくていいなあ。
 同時収録の『パヴァーヌ』は「スーサイド・スクアッド」(ヴィランによって構成された特殊部隊)へのリクルートにポイズン・アイビーの元を訪れた政府の調査員の話とゆー、またマニアックなものでアイビーの危険なエロチシズム(^_^;)がいいぞ(絵はちっともエロくないけど)。

バットマン:ザ・ラスト・エピソード (ShoPro Books)

バットマン:ザ・ラスト・エピソード (ShoPro Books)

 アラン・ムーア(作), カート・スワン、ほか(画)『スーパーマン:ザ・ラスト・エピソード』
 歴代のキャラが敵も味方もわらわら出てきてどんどん死んでく。まるで冨野アニメの最終回観てるような脚本は『ウォッチメン』のアラン・ムーア
 でもって『バットマン』よりはまだ普通のオチですた。
 ラリィ・ニーヴンが昔、鋼鉄の男とロイスのSEXは難しいと看破したけどその辺の問題も軽くクリアしてハッピーエンド?


ちょっとネタバレ


 死すべき人間<モータル>として生まれながら、未来永劫戦い続ける運命を自ら選択することである種の永遠性<イモータリティ>を取得し神話的存在となったバットマン
 生まれながらにしてアメリカを象徴する神話的存在でありながら、自ら超常能力を封印することで一介の人間、アメリカ市民としての幸福を選んだ(その代わりいつの日か人間としてこの世を去る運命も引き受けた)スーパーマン
 どっちの人生?がより幸福か、ということはまあ置いといて、制作者たちが最初から意図していたかどうかは分かりませんが、二人の生き方が見事なまでに合わせ鏡なのがとても面白いですね。

スーパーマン:ザ・ラスト・エピソード (ShoPro Books)

スーパーマン:ザ・ラスト・エピソード (ShoPro Books)