買ったモノ

M・WOLVERINE『Nシップ』
うるぶさん久しぶりの単行本は地中海で通商破壊戦に携わるおにゃの子ばかりの潜水艦に配属された艦長(♂)の苦悩と恍惚?を描く表題作に、アフリカ戦線でイタリア軍と対峙する教導飛行隊の戦いを描く「南アフリカ・サーカス物語」の二本立て。
Nシップの方は同人誌で読んでるんだけど、今読み直してもそこかしこに溢れる小沢さとる愛が感じられて大変よいぞ。
しいてジャンル分けすれば「萌え架空戦記」なんだけど、他のイカロス出版の作品とはちょっと違ったラインの小技がいろいろ効いててよいのれふ。もちろんおにゃの子たちがほとんどスッポンポンなのも潜水艦の中が温度と湿度が異常に高い為であって理にかなっているのだだっ。

Nシップ

Nシップ

五十嵐大介『SARU(下)』

破壊は本当に悪なのか?誰にとっての悪だ。暴力は常に悪なのか?善とは、誰の立場から見て"善"なのだ。お前たちに破壊をもたらす台風や、地震、火山の噴火は"悪"なのか?

カッコイイ!SARU復活後の展開はもろ怪獣映画。
近代兵器の攻撃を受け付けず進撃するSARUの膨大な活動エネルギーを補給しているのは大気の循環による熱収差、つまり超巨大台風怪獣なのだっちゅうあたりの疑似科学解説がワクワクさんですっ。
B6サイズの単行本でありながら画面から受けるスケール感が凄い。地平線、水平線の向こうから接近する巨大なSARUのシルエットは荘厳とさえいえ、宗教画かゴヤのこつある。
特にP125からの防衛戦、軍の集中砲火が水平線に飛んでいくと、頭上から魚やクジラや巨大な空母が落下してくる黙示録的光景は鳥肌たちます。
人間側の対抗魔術もシンギング・ウェルによるゾンビ兵殲滅シーンとか、ロマの魔法唄によるアルプスの地形を変えるメテオストライクとか迫力。
山の尾根に取り付くSARUを超遠距離から捕らえてその巨大さを表現するカットもお気に入りですじゃ。
実は人類やその文明が生き延びられるかは大きな問題ではないという展開、アンチクライマックスともいえそうな、あれだけ盛りあげといてラスト周辺でだらだら人間ドラマを「描かない」のも潔いな。
不満があるとすれば、とても魅力的な「悪役」、征服者ピサロがあっさり退場しちゃったこと。確かにあのキャラの役割はまっとうしちゃったんだけど惜しいなあ。それにしてもザビエルさんの「神の光」攻撃はチート過ぎ。

SARU 下 (IKKI COMIX)

SARU 下 (IKKI COMIX)

鳴海丈『乱愛天狗』
いわゆる艶時代劇モノだけど、主人公にタイプの違う女性3人が群がってハーレムエンドちゅうエロライトノベルっぽい手法を取るあたり鳴海センセイ侮りがたし、と思ったけどよく考えたらそれは『乾いて候』がとうに通過した地点だったでござる。恐るべし小池一夫
気位の高い奥女中(ツンデレ担当)、気風のいい男勝りの娘岡っ引き(本性は被虐嗜好)を差し置いて表紙でも一番目立っているのが、狼に育てられた野生少女。耳がとんがって犬歯が鋭くてとわりとファンタシィっぽい外見で舌っ足らずな口調で「ご主人様ァ」とか甘えるのがまああざとい(^_^)。

乱愛天狗 (学研M文庫)

乱愛天狗 (学研M文庫)