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セントールの悩み 2 (リュウコミックス)

セントールの悩み 2 (リュウコミックス)

いずれになるかは我々の平等と団結にかかっています
故に平等は/時に人権や生命より重いのです
では最後に国歌斉唱を

人外キャラによる百合風味萌え日常ファンタシイの体裁をとっていながら、実はけっこう深い(重い)設定を背景に持つ異世界SFだったのだな。
六肢生物から進化したこの世界の「人類」(知的生物)は人馬型や翼人型、人魚型、長耳人型など外見上の差異が大きな幾つもの種族に分かれるために、我々読者の世界よりも深刻な争いや差別を乗り越え、ぎりぎりのところで文明社会を成り立たせているのであろう事がさりげなく描写されてたり(だから授業で「平等は時に人権や生命より重い」ってテーゼがでてくるのですね)。
同じ授業で先生が「もし四肢人類が進化した世界があれば、髪や肌の色しか違わない彼らの間には我々ほど深刻な争いや差別は生じないでしょう」と述べるカットからは皮肉と深い諦観が伝わってくるようです。
髪や肌の色ぐらいしか違わない我々の世界ですらあれだけの争いの歴史があるのだから、のどかに見える彼らの世界にはこれまでどれほどの悲劇や虐殺が積み重なっているのでしょう。
神話やファンタシイと進化論的ハード?SFの融合という点ではブリッシュの『悪魔の星』に近い…といったらさすがに褒めすぎでしょうか。
ただ昔アメリカで流行ったヴィンジやル・グィンらのサイエンス・ファンタシイが世界の構築にややもすると「バイオテクノロジー」という魔法の言葉に頼っていた事を考えると、セントールの世界を成り立たせているロジックは(妥当かどうかは別として)むしろハードよりなのではないでしょうか。
読み切りの「人面犬の恐怖」もファンタシイとゆーかメルヘンチックな少女と犬幼女の戯れの隙間から、残酷な現実世界が垣間見られるシーンの凄味が半端なく素敵です。

ノブナガン(1) (アース・スターコミックス)

ノブナガン(1) (アース・スターコミックス)

お前の生まれ変わりならどんな兵器を望むかな
ふ 決まっておる
銃よ

宇宙から飛来し急速な変化と適応を繰り返して海から陸上への進出を謀る「進化侵略体」。
対抗できるのは歴史上の偉人・傑物の遺伝子を受け継いだ戦士のみ!
平凡な女子高生小椋しおは織田信長の生まれ変わりとして覚醒し、身体を銃に変化させて地球の平和の為に戦うのだ!
なんという「スーパー偉人大戦」!
しかしニュートンガンジーはともかく、パートナーが切り裂きジャックってのは偉人伝的にどうなのよ?
そのうちマイケルやゲバラも出てくるのか?(そんなコラボは嫌だ)