『電脳コイル』の世界観

 a day in the life of mercy snow 10月後半より
 わたしは「電脳コイル」をちゃんと見ていない。たまたまチャンネルが合ったときにチラ見した程度である。
 そのせいにちがいないが、設定がまるっきり理解できなかった。
 最初は仮想現実ものかと思った。つまり、大黒市という仮想空間がネット上にあり、ユーザがログインして疑似体験しているのだろう、と。
 ところが、主人公クラスの女の子は金沢市から引っこしてきたというから、大黒市は現実に存在する都市であるらしい。
 そうか、あのなんか変なメガネをかけると、現実の上に仮想空間がスーパーインポーズされるのだな、と次に考えたのだが、いきなり壁に穴があいて、人が入っていったりするではないか。AR(Augmented Reality)でこんなことが起こるはずがない。
 首をひねりながら、いろいろ調べ、それなりに納得はできた。どんな設定にもつじつまの合ったもっともらしい説明をつけることはできる。ただ、わからないのは、なぜ無理やり(とわたしには思えるのだが)そんなつじつま合わせをしてまで、この設定にしなければならなかったかだ。現実空間と仮想空間をはっきり区別し、仮想空間に没入(ジャックイン)する、あるいは現実空間に仮想空間をスーパーインポーズするということでいいんじゃないのか?
 でも、たぶん「電脳コイル」的世界のほうがリアルに感じる人たちがたくさんいるのだろう。つまり、現実と仮想とがはっきり区別されておらず、ぐちゃっと混じりあっているような世界観だ。
 この世界観は拡張現実のみならず、拡張幻想(Augmented Fantasy)でもある。仮想空間のほうを操作すれば、現実空間をも変えることができるという発想を必然的に孕んでいる。
 したがって、「電脳コイル」が都市伝説的オカルトに大きく依拠しているのも当然だろう。

 ふむん、「都市伝説的オカルトに大きく依拠している」というかむしろ積極的に「陰陽道や呪術が実在する世界」「現実世界のすぐ隣に異世界が存在する世界」と解釈しちゃた方がすっきりするような気もします。
 メガネや護符などの小道具はそういったいわば「かくりよ」をのぞき見たり、そこへ入り込むためのデバイス(方便)なわけですね。
 もちろん呪術というのはまさに「仮想空間のほうを操作すれば、現実空間をも変えることができる」という思想なわけです(人形に釘打ち込めば実際にも傷つくってやつね)。
 殊能氏は当然その辺はすべて承知の上で書かれているんだろうと思いますけど、個人的には「『電脳コイル』的世界のほうがリアルに感じる」かどうかというより、あの作品においてはあの設定(世界観)じゃないと成り立たないんじゃないかと思うんですよ。
 つまり(『攻殻機動隊』のように)電脳世界にジャックインする方法論や現実空間に仮想空間をスーパーインポーズする方法論では上手くいかない、もしくは似て非なる作品になってしまうんじゃないかと…

電脳コイル企画書

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電脳コイル ビジュアルコレクション

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 ■国家資本主義  
 今朝の朝日新聞のコラムで取り上げられていた言葉。
 中国やロシアやインドのように、資本主義を導入しても市場主体による(比較的)自由放任的な経済発展ではなく、国家が強力な指導力を発揮して経済を効率的にコントロールしていく形態をそうよんでいるらしい。
 …それってマルクス主義者の唱えた国家独占資本主義、ひいてはナチスなどの国家社会主義とどれほど違う存在なんでしょ?(^_^;)
 本来の国家独占資本主義って巨大独占資本(財閥)の登場によって国家が積極的に市場に介入し、結果として帝国主義的な覇権国家が形成されていく過程の中での存在、いわば資本主義国家の行きつく果てみたいな感じで、それに対抗するアンチテーゼとして共産主義が生み出されたような…
 しかし現実には元・共産主義社会主義国家が(見掛け上)資本主義を受け入れる過程で新たなる国家独占資本主義が形成されるとしたら、ある意味歴史上の大いなる皮肉というか逆コースというか、でも過程はちょっち違ったけど、実はマルクス主義史観は正しかったのだよってことになったりするのですかねえ。いやまあホントにただの戯言ですが。



 ■今日の「今日の早川さん」妻という名の魔女
 ああっ、ただでさえナーバスな妊婦にそんなもの読ませるなんてっ!
 いくらSF・ホラーファンとはいえそれは人としてどうよ?とゆー気もいたしますよ(^_^;)。
 …あ、あれ!?でも岩波さんってずいぶん前から妊娠してませんでしたっけ?
 予定日っていったい何時?
 …ってゆーかお腹に入ってるのってほんとーに人間の赤ちゃ…(怖い考えになってしまった)

今日の早川さん

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今日の早川さん 2 (限定版)

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